遠赤外線温熱療法

遠赤外線温熱療法とは

がん細胞は熱を加えられると、正常細胞のように血管を拡張して血流を良くするラジエーター効果で細胞の温度を下げることが出来にくく、簡単に細胞の温度が上がってきます。体表のがんであれば温度が42度以上になるとがん細胞が死滅することが分かっています。
また、体温が1度上がると免疫力は10~37%向上するといわれています。風邪を引いたりインフルエンザにかかると、体温を上げて免疫細胞を活性化して戦うのです。
がん患者さんには低体温の人が多いのも特徴で、中には34~35度の人もいます。低体温だと免疫細胞がからきし元気がないのですから、がん細胞にとっては活動に適した環境といえるでしょう。
したがって温熱療法で体を加熱して温める事は、がんを抑制し免疫力を増強する合理的な抗がん治療といえます。
温熱治療にはハイパーサーミアという治療法があります。体表に近い乳がん、頭頚部がん、前立腺がんなどに用いられますが、内臓のがんは苦手としています。また、皮下脂肪に影響を受けやすく皮下脂肪が多い人には加熱できません。
当クリニックでは、皮下脂肪に関係なく皮下40mmまで到達する遠赤外線加熱機器を使い局所加熱を実現しました。これは比較的深い40mmまでのがんなら42度以上に加熱することが出来ます。また、腹部に当てることで腸管免疫を司る腹部の腸管リンパ節の活性化を促します。
次に遠赤外線放射機器に入ります。30分程度この治療を行い、深部体温を上げていきます。遠赤外線を360度全身に浴びながら温熱するために、皮脂腺からの大量の発汗があります。通常は汗腺からの発汗ですが、皮脂腺からの発汗は通常ならマラソンなどのように3時間以上の高体温を維持しなければ出ないといわれています。大量の発汗とともに有害ミネラル、有害金属、毒素が排泄され、新陳代謝が活発になります。
このマイルドな全身の温熱療法は、抗がん剤や放射線療法との組み合わせでもその治療効果を増強することで知られています。
また、がん細胞は転移先では新たな血管を作り、そこから栄養を摂取して増殖していきます。このときに全体の体温が上がることは免疫細胞を活性化させ、未熟な血管を免疫細胞が通りやすくなり、がんにとっては非常に都合の悪い状況になるのです。がん細胞はこの環境下で抗がん剤が入ってくると、そうでないときよりも遥かに多くダメージを受けるのです。
ですから、いろんな意味でこの全身温熱療法はがん細胞を攻撃する力を持っているのです。がんの進行した悪液質の患者さんにも有効です。